INTRODUCTION

—国際派映画人、杉野希妃による21世紀の雪女がここに誕生—

100年以上前に小泉八雲が著した「怪談」は、日本各地の伝説を怪奇文学に昇華させた作品。その中の一編「雪女」を、独自の解釈で杉野希妃が映画化したのが本作である。『マンガ肉と僕』、『欲動』に続く、監督第三作としてかねてから映画化を切望していた杉野が、自ら雪女とユキの二役に挑んだ。 主人公の巳之吉役に、活躍目覚ましい青木崇高、娘のウメに注目の若手山口まゆ。佐野史郎、宮崎美子、山本剛史、松岡広大など演技派、若手が脇を固め、大ベテランの水野久美がひきしめる。撮影監督は名手上野彰吾、美術は種田陽平門下の田中真紗美、音楽は杉野作品の殆どに携わっているsowjow。 杉野の故郷である広島県の全面協力のもと、映画の街で知られる尾道市を中心に、全編を広島県内、広島弁で撮影された。第29回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、雪と光の映像美、クラシカルな美学、伝統を現代へと活かそうとする斬新な試みが高い評価を得た。

STORY

—恐怖と神秘と、そして雪の結晶のように繊細で はかなく美しい愛の物語—

ある時代、ある山の奥深く、吹雪の夜。猟師の巳之吉は、山小屋で、雪女が仲間の茂作の命を奪う姿を目撃してしまう。雪女は「この事を口外したら、お前の命を奪う」と言い残して消え去る。翌年、茂作の一周忌法要の帰り道に、巳之吉は美しい女ユキと出会う。やがて二人は結婚し、娘ウメが生まれる。
14年後。美しく聡明な少女に成長したウメは、茂作の遠戚にあたる病弱な幹生の良き話し相手だった。しかしある日、茂作の死んだ山小屋で幹生が亡くなってしまう。幹生の遺体には、茂作と同じような凍傷の跡があった。ユキの血を引く娘のせいだと、巳之吉を激しく問いつめる幹生の祖父。巳之吉の脳裏に14年前の出来事が蘇り、以前から自分の中にあったユキに対する疑心と葛藤する。自分があの夜の山小屋で見たものは何だったのか、そしてユキは誰なのか…。

CAST

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雪女、緒方 ユキ / 杉野 希妃 Kiki Sugino

1984年生まれ、広島県出身。慶應義塾大学経済学部在学中にソウルに留学。2005年、韓国映画『まぶしい一日』で映画デビューし、続けて『絶対の愛』(06/キム・ギドク監督)に出演。出演兼プロデュース作は、『歓待』(10/深田晃司監督)、『マジック&ロス』(10/リム・カーワイ監督)、『大阪のうさぎたち』(11/イム・テヒョン監督)、『おだやかな日常』(12/内田伸輝監督)、『ほとりの朔子』(13/深田晃司監督)、『3泊4日、5時の鐘』(14/三澤拓哉監督)他多数。11年に東京国際映画祭、13年に台北映画祭で特集が組まれ、14年のロッテルダム国際映画祭では日本初の審査員に選ばれる。14年、監督第1作『マンガ肉と僕』が東京国際映画祭、エディンバラ国際映画祭、上海国際映画祭等で上映。第2作『欲動』は釜山国際映画祭「Asia Star Awards」の最優秀新人監督賞を受賞。日仏合作『海の底からモナムール』(ロナン・ジル監督)、ブルガリア映画『ユキとの写真(仮)』(ラチェザー・アブラモフ監督)が公開待機中。

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緒方 巳之吉 / 青木 崇高 Munetaka Aoki

1980年生まれ、大阪府出身。2003年『バトル・ロワイアルⅡ~鎮魂歌(レクイエム)~』で本格的映画デビュー、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(10)「平清盛」(12)、主演ドラマ「ちかえもん」(16/NHK)、「BORDER」(14/EX)、連続ドラマW「石の繭」(15/WOWOW)などに出演し、映画では『るろうに剣心』シリーズ(12、14)、『一命』(11)、『黄金を抱いて翔べ』(12)、『日本で一番悪いやつら』(16)等がある。NTV「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(16)に出演、映画『雨にゆれる女』(16)では主演を務めた。2017年には舞台「髑髏城の七人」の公演も待機中。本作では、雪女の美しさに惹かれ愛する、無骨ながら誠実な猟師巳之吉を演じる。

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緒方 ウメ / 山口 まゆ Mayu Yamaguchi

2000年生まれ、東京都出身。2014年、「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」でドラマデビューを果たす。「アイムホーム」(15)、「ナポレオンの村」(15)等に出演。2015年、ドラマ「コウノドリ」では中学2年生の妊婦役を演じて注目を集めた。2017年公開『相棒-劇場版Ⅳ-』ではシリーズ最年少ヒロインを務めた。

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雨宮 茂作、雨宮 栄作 / 佐野 史郎 Shiro Sano

1955年山梨県生まれ、島根県松江市育ち。 1975年、劇団「シェイクスピア・シアター」に創設メンバーとして参加。1980年、唐十郎主宰の「状況劇場」に移り、1984年まで在籍。1986年に『夢みるように眠りたい』で映画初主演を果たす。テレビドラマ「ずっとあなたが好きだった」の冬彦役で広く知られ、ゴジラシリーズや『太陽』(05)でも話題を呼ぶ。近年では、『千年の愉楽』(13)、『偉大なる、しゅららぼん』(14) 、『オー!ファーザー』(14)、『媚空−ビクウ−』(15)他多数に出演。2017年は『なりゆきな魂、』が公開を控える。テレビや映画、舞台への出演の他、音楽活動、本の執筆もこなし、多方面で活躍している。幼少期から幻想怪奇の世界に親しみ、松江ゆかりの小泉八雲にも惹かれていった。八雲の朗読は今やライフワークとなっている。

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ばあば / 水野 久美 Kumi Mizuno

1937年生まれ、新潟県出身。1957年『気違い部落』でデビュー。58年、東宝株式会社入社、妖艶な美貌と抜群のスタイルで、「東宝スリー・ビューティーズ」の一人として活躍。63年に東宝退社。以降67年ころまでは、特撮怪獣映画や怪奇映画等に数多く出演。『マタンゴ』(63)、『怪獣大戦争』 (65)、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(66)等で熱狂的なファンを獲得し、現在でも日本のみならず世界中で人気がある。その後、『ゴールドラッシュ』(90)、『白鳥麗子でございます!』(95)、『ゴジラ×メカゴジラ』(02)、『百年の時計』(07)、『インターミッション』(13)等の映画やNHKの連続テレビ小説、TBSの月曜ゴールデン等に数多く出演、幅広い役柄を演じ分ける実力派女優として活躍中。2012年には、初の自伝「女優 水野久美 怪獣・アクション・メロドラマの妖星」を刊行した。

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緒方 ハル / 宮崎 美子 Yoshiko Miyazaki

1958年生まれ、熊本県出身。熊本大学在学中に「週刊朝日」表紙モデルとなり、CMに出演。1980年TBSテレビドラマ「元気です!」で主演を務め、女優デビュー。黒澤明の遺稿脚本『雨あがる』(00)でブルーリボン賞助演女優賞、日本アカデミー賞主演女優賞受賞。以降、様々な映画やドラマに出演しながら、バラエティークイズ番組等でも活躍。2013年NHK朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」にも出演。近年、『群青色の、とおり道』(15)、『ピンクとグレー』(16)、『金メダル男』(16)等に出演。

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雨宮 源太 / 山本 剛史 Takeshi Yamamoto

1976年生まれ、愛知県出身。 主な作品に『ばかのハコ船』(03)、『ピーカン夫婦』(04)、『リンダ、リンダ、リンダ』(05)、『堀川中立売』(10)、『バチアタリ暴力人間』(10)、『マイ・バック・ページ』(11)、『さよならドビュッシー』(12)、『おだやかな日常』(12)、『同じ星の下、それぞれの夜 FUNFAIR』(12)等がある。14年は『あすなろ参上』、『福々荘の福ちゃん』、『禁忌』が、15年は『超能力研究部の3人』、『ディアーディアー』が公開された。

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雨宮 幹生 / 松岡 広大 Koudai Matsuoka

1997年生まれ、東京都出身。2010年よりラジオ、CM等で活躍。2012年に「特命戦隊ゴーバスターズ」、「眠れる森の熟女」などにTV出演。2013年に「FROGS」で舞台デビュー、同年から2014年に掛けて「テニスの王子様」2ndシーズンに出演。2015年から2016年に掛けてはライブ・スペクタル「NARUTO-ナルト-」にうずまきナルト役で主演、またAmazonプライムのドラマ「ベイビー・ステップ」にも主演した。5月より上演されるライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~にうずまきナルト役で出演が決定している。

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川島 サトコ / 梅野 渚 Nagisa Umeno

広島県出身。前田弘二監督の短編映画『女』(05)、『鵜野』(05)に出演後、劇団「オフィス3○○」に参加。退団後、吉田浩太監督『ソーローなんてくだらない』(11)にヒロイン役で出演。主演映画『FORMA』(14)は第64回ベルリン国際映画祭フォーラム部門において国際映画批評家連盟賞を受賞。

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矢野 昌平 / 森脇 和成 Kazunari Moriwaki

1974年生まれ、広島県出身。1994年4月にお笑いコンビ「猿岩石」を結成。テレビ番組「進め!電波少年」の企画で香港からイギリスまでヒッチハイクで横断するという企画で大ブレイク。2004年3月、「猿岩石」解散。その後、11年間は飲食店経営・サラリーマンなどを経て、2015年8月、芸能界へ復帰。現在は芝居中心に舞台でも活躍中。『雪女』は復帰後初出演の映画になる。

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小林 / 川本 三吉 Sankichi Kawamoto

1975年生まれ、広島県尾道市出身。1998年より関西拠点の野外劇団、犯罪友の会に参加。主な出演作は、『乱死怒町より愛を吐いて』(15)、『断食芸人』(16)。

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永田 / 大窪 シゲキ Shigeki Okubo

1979年生まれ、大阪府出身。2007年から広島エフエムの10代応援番組「大窪シゲキの9ジラジ」を担当。2015年からは映画を愛する番組「シネマ☆ボックス」もスタート。広島県消費者トラブル防止DJ大使にも就任。朝日新聞(広島版)にも毎週コラムを掲載中。ジャンルを問わず広島県内でのイベントMCの数は500回を超えさらに更新中。

STAFF

監督・主演(雪女、緒方 ユキ)/ 杉野 希妃 Kiki Sugino

1984年生まれ、広島県出身。慶應義塾大学経済学部在学中にソウルに留学。2005年、韓国映画『まぶしい一日』で映画デビューし、続けて『絶対の愛』(06/キム・ギドク監督)に出演。出演兼プロデュース作は、『歓待』(10/深田晃司監督)、『マジック&ロス』(10/リム・カーワイ監督)、『大阪のうさぎたち』(11/イム・テヒョン監督)、『おだやかな日常』(12/内田伸輝監督)、『ほとりの朔子』(13/深田晃司監督)、『3泊4日、5時の鐘』(14/三澤拓哉監督)他多数。11年に東京国際映画祭、13年に台北映画祭で特集が組まれ、14年のロッテルダム国際映画祭では日本初の審査員に選ばれる。14年、監督第1作『マンガ肉と僕』が東京国際映画祭、エディンバラ国際映画祭、上海国際映画祭等で上映。第2作『欲動』は釜山国際映画祭「Asia Star Awards」の最優秀新人監督賞を受賞。日仏合作『海の底からモナムール』(ロナン・ジル監督)、ブルガリア映画『ユキとの写真(仮)』(ラチェザー・アブラモフ監督)が公開待機中。

監督コメント

小泉八雲の「雪女」の面妖さが、ここ数年私の心を掴んで離しませんでした。雪女はなぜ雪景色の向こうに現れ、人間と交わろうとするのか。それは何を象徴しているのか。雪女と人間のあいだに生まれた子の魂が、私の中にも生きているのではないか。...沢山の疑問が湧き起こりました。わずか数ページの短編に心理描写などなく、様々な解釈が可能です。不思議なことに、畏怖の対象である雪女に私は温かなまなざしも感じました。その姿は、自然の化身が人間の魂に寄り添おうとしているかのようにも思えました。実体のなさにひそむ揺るぎないもの。目に見えないものと共生しているという神秘。この得体の知れない存在を通して、それらについて現代社会に問いかけたかったのです。

THEATER

地域劇場電話番号公開日
東京ヒューマントラストシネマ有楽町03-6259-86083月4日(土)〜
神奈川横浜シネマ・ジャック&ベティ045-243-98003月4日(土)〜
大阪シネ・リーブル梅田06-6440-59304月1日(土)〜
大阪シネ・ヌーヴォ06-6582-14164月1日(土)〜
京都京都みなみ会館075-661-39934月1日(土)〜
兵庫元町映画館078-366-26364月1日(土)〜
広島八丁座082-546-11585月13日(土)〜
広島シネマ尾道0848-24-82225月13日(土)〜
広島福山エーガル8シネマズ0849-60-00845月13日(土)〜
愛知名古屋シネマテーク052-733-3959近日公開
宮城桜井薬局セントラルホール022-263-7868近日公開

COMMENTS&REVIEW

  • 杉野希妃が監督・主演を務める本作は監督作三作目にして最高傑作!日本の古典怪談を新解釈し、示唆に富む謎めいた作品に仕上げている。(中略)明言せずに想起させ、恐怖に落とし込むことなく薄気味悪さだけをたたえるなど、これほどに示唆に満ちた作品を作るのは勇気のいることで賞賛に値する。杉野は幾度となく語り継がれてきた古典の核心を見出し、独自のエニグマ的な作品を作り上げている。

    Variety

  • 精緻に構成された、エロティシズムと畏れの脈打つ力作!

    The Guardian

  • 美しくも奇妙な不気味さをたたえたポエティックな作品。

    The Hollywood Reporter

  • 恐怖と秘密が、美しく凍っている。 重ねた人肌の温もりが画面から伝わりそれがとてもエロティックだ。 静かに見える画面の中で、孤独と孤独が大きな声で必死に呼び合っている。その熱さが見る者の胸を打つ。

    犬童一心 <映画監督>

  • 杉野監督が撮る作品は私が映画に期待する品と質感を備えている。只管美しく、間を優雅に繋いだ映像は正に時間芸術、役者杉野の演技も時折ハッと息を呑む艶があり、女性監督ならではの新解釈も潔い。凄い映画ですよ。

    塩田周三 <(株)ポリゴン・ピクチュアズ 代表取締役>

  • メランコリックで神秘的、かつそっと魅了する作品。異世界感を湛えつつ、そこに憐れみとヒューマニズムをもたらす。観る者を引き込む演技と確固たる方向性がこれら全てを可能にする。

    マーク・アダムス <映画評論家・エディンバラ国際映画祭アーティスティックディレクター>

  • 『雪女』は優しく母性的な水と、恐怖に満ちた冷たい水(雪)が交錯する、夢幻的なフィルムである。また同時に、他国から到来した女性を共同体がいかに排除するかを描いた、残酷劇でもある。キキ女はいつ甲斐庄楠音に到達するだろうか。

    四方田犬彦 <比較文学研究家>

  • この企画は抜群だと思う。ほとんどの日本人が知っている話で浅くも深く読み解く事ができて、映画スクリーンに映える山の雪景色や吹雪の音や雪を踏む足音など、冬の音が効果的で物語に没入しやすい。そして、見終わった後に誰かと語りたくなる。

    本広克行 <映画監督>

  • 夢に見てしまいそうだが、決して悪夢ではない。静かで、危うく、冷たく、やさしい。そして朧げに美しい。雪の降る夜のような肌触り。寡黙な登場人物たちの存在感が、緊張感に満ちた寓話を構築している。

    手塚眞 <ヴィジュアリスト>

  • 生命の儚さや移ろう四季の変化と、人間や怪物の心情が同調していくさま。映像では映らない内面を自然の描写で見事に昇華。美しい自然やアニミズムのみが、人間も怪物も同列に優しく哀しく包み込んでいく。産み落とされたすべての生命は、前史の証人となる!

    ヴィヴィアン佐藤 <美術家>

  • ゆったりとしたテンポで、田舎の冬の情景を見ながら雪女の美しさと恐怖を堪能していくうちにはまり込んでいく映画!ロケ地にもなった僕の地元の上下町の景色が切ない気持ちを引き立てます!

    アンガールズ田中卓志 <芸人>

  • 八雲の名作『怪談』の中で、最も謎めいた作品である「雪女」。その謎に、ひとつの斬新な回答をもたらすような映画が、ここに誕生した。温泉で温まって、やっと子を成す雪女とは!……これぞ異類婚のリアル!?

    東雅夫 <文芸評論家、『幽』編集顧問>